概要 |
本研修プログラムは2年間の初期研修プログラムを終了した後、感染症の専門医を志す医師を対象として、より専門的な臨床研修を行うものです。我が国のこれまでの大学病院を中心とした各臓器別の教育システムでは、感染症に関する包括的な教育はきわめて貧弱なものでした。高齢化の進行、免疫不全者の増加など感染症を発症する誘因は今後ますます増加すると予測されます。また、新型インフルエンザに代表されるような新興感染症に対しての危機管理の重要性も高まっています。そこで私ども感染免疫内科では、感染症診療のエキスパートを目指す若手医師のための研修プログラムを設け、日本の感染症診断および治療レベルのさらなる向上に寄与できる人材の育成を目指しています。
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特徴 |
市中肺炎などのcommon diseasesに加えて、当科ではHIV感染症とAIDS関連の日和見疾患、さらに、マラリア、腸チフスなどの熱帯感染症に関しても十分な臨床経験を積むことができます。
当科では1986年からHIV感染者の診療を開始し、国内でもトップクラスのHIV診療経験を有しています。我が国独自の情報を盛り込んだガイドラインである「抗HIV治療ガイドライン」(厚生労働科学研究費エイズ対策研究事業)の作成においても、当科のスタッフが中心的な役割を果たしています。国内のHIV感染者/AIDS患者の報告数は増加しつづけており、一般病院で遭遇する機会が増えているにもかかわらず、患者さんは特定の医療機関に集中し、残念ながら体系的に研修できる施設は限られています。当科では定期的なカンファレンスを通じて、入院患者だけでなく外来患者に対するマネジメントも十分修得していただけます。HIV感染症は各種日和見感染症はもちろんのこと、様々な感染症を合併する疾病でもあります。また、アレルギー免疫科や先端診療部、血液内科など他の診療部門における感染症も経験することが可能です。
熱帯感染症については、日本国内で入手困難な、熱帯病に対する希少薬剤を使用した治療が可能です。当科のホームページを通じて、海外へ旅行される方や帰国した方々への感染症相談も行い、幅の広い感染症専門医を目指すための環境を整備しています。当科の関連施設であるトラベルクリニックでの経験を積むことも可能です。
当科は基礎研究部門である「先端医療研究センター感染症分野」と一体となって、一つの教室を形成しています。教室員の約半数は基礎研究者または大学院生で、同じ研究所内の感染症国際センターとも交流を持ちながら、HIV感染症を含めた様々な感染症の基礎研究に従事しています。教室全体で、基礎研究の成果を臨床に応用するトランスレーショナルリサーチを目指していますので、当科に所属する医局員は、それぞれが臨床と関連したテーマを追求しています。研修の主たる部分は臨床研修ですが、希望により一部の時間を基礎研究に割き、研究の手ほどきを受けることも可能です。主として基礎研究に従事したい場合は、本プログラムの終了または中途終了後、大学院に入学していただくことになります。
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研修スケジュール |
- 1年目
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内科系診療科(感染免疫内科、血液腫瘍内科、アレルギー免疫科、先端診療部)で総合内科医として診療に参加する。併行して、各種カンファレンスを通じ感染症全般の知識を取得する。
1年目終了時点で内科学会認定医の受験資格が取得可能。
- 2年目
- 感染免疫内科で感染症入院症例の診療。
希望により、長崎大学COEプログラム・熱帯感染症研修コース(タイやフィリピンの病院で2〜3週間の研修)等への参加を推薦。希望によりトラベルクリニックでの研修。
- 3年目
- 同上
- 4年目
- 感染免疫内科で感染症入院症例および外来症例の診療。
4年目終了時点で内科学会専門医、ならびに、感染症学会専門医の受験資格が取得可能。
希望者は、 医科研病院院内感染対策委員会への参加(ICD = インフェクションコントロールドクターの資格取得が可能)。
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関連HP |
感染症分野HP
>>http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/didai/home.html
(現在更新中)
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