東京大学医科学研究所附属病院

筋ジストロフィー心筋症外来

“筋ジストロフィー”は徐々に全身の筋力が衰えてしまう筋肉の病気です。肺の筋肉や心臓の筋肉も衰えてしまうため、呼吸不全や心不全が患者さんの寿命に大きく影響します。人工呼吸管理の進歩により呼吸不全で亡くなる患者さんは少なくなり、より長生きできるようになりました。一方で、心不全が原因で亡くなる患者さんは増加しており、現在のところ心不全が最も多い死亡原因であると報告されています。

筋ジストロフィー心筋症を早期から適切に治療することで、心不全の進行を遅くして寿命を延ばせることもわかっています。しかしながら筋ジストロフィーは稀少な難病であるため、一般の循環器医にはその診療経験がほとんどありません。また、疾患特有の病態(車椅子の使用・呼吸器の使用・長期の臥床・胸郭の変形・頻脈や低血圧など)が存在するため、筋ジストロフィーを専門にする小児科医や神経内科医でも心臓の治療をどうしたらよいのか迷うことが少なくありません。

当院は“筋ジストロフィー臨床試験ネットワーク”に加盟しており、複数の筋ジストロフィー診療拠点病院と協力しています。仙台西多賀病院・新潟病院・下志津病院・箱根病院・まつもと医療センター・大阪刀根山医療センター・広島西医療センター・医王病院などの診療拠点病院と連携して筋ジストロフィー心筋症に対する臨床研究を進めるとともに、国立精神・神経医療研究センター(遺伝子疾患治療研究部)・東京大学大学院農学生命科学研究科・産業技術総合研究所などの研究室と協力して筋ジストロフィーの動物モデルにおける基礎研究を進めています。

当専門外来は、15年以上にわたり数多くの筋ジストロフィー患者さんの心臓について診療と研究を続けてきた専門医が担当します。筋ジストロフィーの患者さんは定期的に小児科または脳神経内科にかかっておられると思いますが、主治医の先生にご相談されて了承を得られるようでしたら当専門外来での併診をお勧めいたします。当専門外来では主治医の先生と綿密に連携しながら、最善の方法で心不全の検査や治療を進めます。なお、当院への定期通院が難しい患者さんについては、東京大学医学部附属病院や上記他の診療拠点病院等において診療対応することもご相談できます。このようなご相談もまず一度は当院の専門外来を受診してください。

予約方法

筋ジストロフィー心筋症外来は完全予約制です。予め病院予約係03-5449-5560(平日9時~17時)へお電話をいただき、予約をお取り下さい。

診察日

診察日:木曜 午後1:30~午後3:00

担当医

筋ジストロフィー心筋症外来(腫瘍総合内科/循環器内科)特任講師 木村 公一
日本循環器学会循環器専門医、日本超音波医学会超音波専門医・指導医、日本心臓病学会上級臨床医(FJCC)
日本神経学会『デュシェンヌ型筋ジストロフィー診療ガイドライン』作成委員、東京都難病指定医

費用

原則として通常の保険診療となります。

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